EBの可能性

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EB豆知識

EB(電子線)の浸透深さ

EBは加速電圧によって、照射される製品中に浸透する深さが変化します。加速電圧が高いほど、EBは深く浸透します。例えば、印刷など表面あるいは10 μm 程度のEB処理では低い加速電圧を、厚いプラスチックフィルムの架橋などでは高い加速電圧を利用します。
お客様の製品に適した加速電圧を選択することで、効率のよいEB処理が可能です。
電子線の加速電圧と浸透深さの関係を図2(125~300kV)と図3(125kv以下)に示しました。図3では特に低加速電圧に特化したEB装置の特性例を示しています。
グラフのX軸は浸透深さ(g/㎡)という単位ですが、被照射物の密度(g/㎥)で割ることで厚み(µm)に換算できます。
例えば一般的なポリエチレンですと約0.93g/㎥なので、100g/㎡の位置では約107.5µmとなります。
加速電圧選定の一例として、100µmの樹脂(密度1.4g/㎥)を裏面まで80%以上処理できる加速電圧は、140g/㎡の位置と80%が交差する点より大きい加速電圧の200kVを選定することになります。

用途と必要線量

線量はkGy(キログレイ)という単位で表します。用途、製品によって必要な線量が変わります。代表的な例を図4に示します。kGyは「吸収線量」と呼ばれる単位で、1Gy は、照射される物質1kgあたりに1ジュールのエネルギー吸収があることを表します。旧単位Mrad(メガラド)とは、10kGy=1Mrad の関係があります。

図4 代表的な応用例における線量範囲例

図4 代表的な応用例における線量範囲例

EB装置の出力性能

EB装置の出力性能は kGy・m/min. という単位で表します。
例えば、3000kGy・m/min. の性能を持つEB装置の場合、30kGy を照射するときは、最高で100m/min.の処理スピードまで対応できることになります。


線量、ビーム電流と処理スピードの関係
線量、ビーム電流と処理スピードの関係

ここで、Dは線量(kGy)、I はビーム電流(mA)、V は処理スピード(m/min.)です。K は各EB装置固有の定数です。
この式から、線量はビーム電流に比例し、処理スピードに反比例することが分かります。なお、同一装置でも加速電圧により定数K が変わりますので、注意が必要です。


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